SSブログ

『花』 千差万別のいいっぱなし物語 ~語られなかった物語  [創作]

これは、友人のブログから頂いた文章をイメージで膨らませたものです。

以下、友人の許可を得てその文を転写させて頂きます。

  
 ΨΨΨΨΨΨΨΨΨΨΨΨΨΨΨΨΨΨΨΨΨΨΨΨΨΨΨΨΨΨΨΨΨΨΨΨΨΨΨΨΨΨΨΨΨΨΨΨΨΨΨΨΨΨΨΨΨΨΨΨ


  神様は思いました。誰が自分を罰してくれるだろう。誰が間違いを指摘してくれるだろう。  



以前別のブログで気まぐれでやっていたものです。

一行だけ描写をし、残りの前後は読み手にすべて補完してもらう千差万別のいいっぱなし物語。

なので一行の中にどれだけの情報量を詰め込めるか、どれだけ空気や温度を持たせられるかの挑戦でもありますねw

皆さんはどんな物語を読み解けましたか。



 ΨΨΨΨΨΨΨΨΨΨΨΨΨΨΨΨΨΨΨΨΨΨΨΨΨΨΨΨΨΨΨΨΨΨΨΨΨΨΨΨΨΨΨΨΨΨΨΨΨΨΨΨΨΨΨΨΨΨΨΨ



さて、ここからひとつの物語が生まれました。


『花』


神様は思いました。誰が自分を罰してくれるだろう。
誰が間違いを指摘してくれるだろう。

神さまの手には一輪の花が握られています。
かつて瑞々しかったその野花は、
既にしおれて、ちいさな首をぐったりと垂れていました。
神さまは静かにその花を見つめて、
その花をいっぱいに両手に抱えていた
幼い少女の笑顔を想い出していました。

慈しんで創り上げた大地。
愛おしんで生まれさせた生命。
夢見た理想郷を実現させるために
育んできた気の遠くなる時間と力。

それを一瞬で無に帰してしまったやりきれない脱力感と絶望。

始めからなんてできない。
花は新しく創っても、同じ花ではない。
少女も生まれても同じ少女ではない。
滅ぼしても、創りだしても
決してたどり着く事のない、繰り返される無限の螺旋。

神さまはそっと手の中の花を離しました。
花は背後からの熱風に抗うように空高く舞い上がります。

「さあ、まいりましょう。」
脇に控えていた天使が感情を殺した堅い声で促しました。
振り向く神さまの目に
まだ燃え続けている町と人々の様子が映ります。

ソドムと呼ばれ、長く人々の記憶に刻まれるその町の夜明けのことでした。


nice!(5)  コメント(5)  トラックバック(0) 
共通テーマ:LivlyIsland

nice! 5

コメント 5

LAYLY

『ソドムとゴモラ』については、たまたま今年の春頃に観ていたドラマの話に出てきたので、ほんの少しだけ知っていました^^;

何と表現していいか分かりませんが…、
自分の子供がいろいろな罪を犯し、それを自分の手で罰しなければならないとしたら…。
きっと親の責任としてやり遂げなければならないだろうけれど…。
この世の最大の不幸かもしれません。

町全体を滅ぼさなければならなかった神様の気持ちは想像以上のものだったのでしょうね・・・・・(^-^;

by LAYLY (2014-12-05 23:38) 

takehiko

> LAYLYさま

いつもながらコメント感謝です。^^

実在の町の名をだしてしまうのも問題かなとは思いましたが
旧約聖書で神の怒りにふれた廃退の町として名高いものですから・・。
宗教的な解釈は門外漢なものですから勘弁してください。

町の中に10人の心正しきモノがあれば、町を滅ぼすのをやめようと
神は約束したのですが、それも叶わず
ひと家族だけが天使の導きで、難をのがれたと聖書にはあります。
神さまは自分の思うように出来なかった失敗作を
簡単にやあめた、と捨ててしまえたのかな?

この一文をいただいた時、神さまという絶対的であるべきものの
孤独や苦悩を想ってしまいました。
不遜ではあるけれどね^^;

ちなみに、ソドムとゴモラの町を滅ぼしたのは
天からの火と言われていますが、
いろんな調査の結果、小惑星の破片が落下し
空中爆発を起こしたのでは、と言われているようですね。
by takehiko (2014-12-06 02:03) 

LAYLY

こちらこそいつも丁寧なお返事を頂けて感謝です^^

私は宗教や聖書に関してまったく知識がありませんし、「ソドムとゴモラ」に関しての一般的な解釈も知りませんので、こちらのお話を拝読して素直に書き込みさせてもらいました。
なので、takehikoさんが、

>この一文をいただいた時、神さまという絶対的であるべきものの
孤独や苦悩を想ってしまいました。
不遜ではあるけれどね^^;

とお返事下さり、あれ?と思ってしまったのですが^^;
差支えなければ、“不遜”と想われる理由をお尋ねしたいです^^

実は私幼稚園がキリスト教系でした。私の家族や私自身が信者ではないですけど。
事あるごとに聖書のお話を聞いたり、お祈りした記憶がおぼろげながら残っています。
このお話のお蔭で、懐かしくなりました^^

by LAYLY (2014-12-06 10:03) 

takehiko

>LAYLYさま

少し長くなりますが・・。

多くの信仰の対象である『神』というものは、絶対的な善であり正義です。
ですからその行いに置いて、間違えなどあり得ませんから
疑問をさしはさむ事すら悪であり、罰せられるものです。
純粋な信仰とは、僕は本来そう言うものだと思います。
だからこそ今現在に至るまで、
己が信仰の名のもとに戦争や紛争が続いています。
自分を愛するように、他者を愛せ、と言ったキリスト教においてさえも
哀しい事に(僕から見れば)些細な相違点で敵対します。

この一文は、神は絶対的な力はあるが、
必ずしも正しいモノではない、という前提で放たれた言葉に僕は思えました。
だから「自分の間違いを正し」「罰して」くれる誰かを望んでいます。
とても人間的ですね^^

この『神』と言うものを聖書の町の名を使う事で、
僕はエホバに限定してしまう事になってしまいました。
その神をあたかも人と同じように扱ってしまった事が
不遜だな、と考えました。

これで応えになっていますでしょうか?^^;

蛇足ながら・・。
学生の頃、あるキリスト教関係の
指導をなさっている方とお話しする機会をいただいたのですが
僕の考えは宗教ではなく、哲学ですね、と言われましたw
自分の全てを神にゆだねる事の出来なかった僕は
所詮神の庭にはゆけないようです^^


by takehiko (2014-12-06 12:03) 

LAYLY

ありがとうございました。
宗教にも哲学にも疎い私には少々理解するのが厳しい…かな;;

でも私も神の庭には行けそうにないですねぇ…(^-^;

by LAYLY (2014-12-06 15:32) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。