リヴリー小説 短編 『オメデトウ』 [創作]
ジャスミンさんのお誕生日の帰り道。
ノドくんとイェルクッシェくんはスキップしながら、仲良く並んで僕の前を歩いていました。
「ジャスミンさん、にこにこしていたねぇ。」
「うんっ!ケーキ、美味しかったねぇ。」
「うんっ!毎日お誕生日ならいいのにねぇ。
そうしたら、みんなにこにこかなぁ?」
♪「お誕生日おめでとー お誕生日おめでとー!」
♪「おめでとー ジャスミンさーん」
♪「お誕生日 おめでとーっ!」
二匹はまた顔を見合わせて大きな声で笑いあいました。
イェルクッシェくんはぴょんぴょーんと
道の傍に揺れる紫陽花の大きな花の前にゆくと、首をかしげました。
「君のお誕生日はいつなの?」
くるくると大きなお目々をめぐらせると
今度はよそのお庭のお蜜柑の若木で
むしゃむしゃと葉っぱを懸命に食べているアオムシを見つけました。
さっそくぴょーんぴょんと近付いて、
その細いお指で、そおっとつつきました。
「君のお誕生日はいつ?」
そして立ち止まって振り返って待っていた、僕とノドくんの所へ
すごい勢いで駆け戻ると、
「ねぇ?どうしてなの武彦さん?」と見上げました。
「どうして、お誕生日はオメデトウなの?」
「そうですねぇ・・・。」
「きっとこうしておんなじ場所で出会って、
おんなじ時間を過ごせることがとっても嬉しいから
頑張って生まれてきてくれてありがとう、
また会えてよかったね?で、おめでとうなのかもしれませんね。」
「そうなのかぁ。」
イェルクッシェくんはにこにこと笑いました。
「じゃあ、僕もノドくんも、ジャスミンさんもポイトコナくんも、
ゼフォンも武彦さんも響鬼さんも、みいんなおめでとうだねっ!」
「はい。」
僕は思わずイェルクッシェくんの小さな頭をいい子いい子と撫ぜました。
「えへへへ~。」
イェルクッシェくんは目をつぶって笑いながら、ふわふわのシッポを元気に振りました。
数日後の夜中。
イェルクッシェくんはとても怖い夢を見た気がして、飛び起きました。
胸は大きな音を立ててどきどきしています。
「ゼフォン!ゼフォーンッ!」
イェルクッシェくんは一番の親友で、一番大好きな人の名前を呼びました。
薄暗い月明かりに照らされて、彼の親友はぐっすり眠っているようです。
イェルクッシェくんは力いっぱい走ってゼフォンさんの胸に乗ると
腕の中にぐりぐりと頭を押しこみました。
「おや・・?イェルクッシェ。どうしたの?」
目を覚ましたゼフォンさんはそっとその頭を撫でてやりました。
「ゼフォン・・。僕ね・・。ええとね・・・?」
うんと疲れてお仕事をしてきたゼフォンさんを起こしてしまった申し訳なさと
起きてくれた安心感と、撫でてもらった嬉しさで
イェルクッシェくんは涙がこぼれそうになって、口をつぐみました。
それから、お顔をゼフォンさんの胸につけて、大きな声で言いました。
「ゼフォン。おめでとうなのっ!とってもとっても、おめでとうなのっ!」
ゼフォンさんは何がおめでとうだったっけ、とぼんやり考えましたが、
イェルクッシェくんがすやすやとまた寝息を立てて安心して眠るまで
優しく撫でてくれていました。
優しい月の光が小さな窓からそんな二人を包んでいます。
明日の朝、目が覚めたら今度こそほんとうにおめでとうですね。
イェルクッシェくん、お誕生日おめでとう^^
ノドくんとイェルクッシェくんはスキップしながら、仲良く並んで僕の前を歩いていました。
「ジャスミンさん、にこにこしていたねぇ。」
「うんっ!ケーキ、美味しかったねぇ。」
「うんっ!毎日お誕生日ならいいのにねぇ。
そうしたら、みんなにこにこかなぁ?」
♪「お誕生日おめでとー お誕生日おめでとー!」
♪「おめでとー ジャスミンさーん」
♪「お誕生日 おめでとーっ!」
二匹はまた顔を見合わせて大きな声で笑いあいました。
イェルクッシェくんはぴょんぴょーんと
道の傍に揺れる紫陽花の大きな花の前にゆくと、首をかしげました。
「君のお誕生日はいつなの?」
くるくると大きなお目々をめぐらせると
今度はよそのお庭のお蜜柑の若木で
むしゃむしゃと葉っぱを懸命に食べているアオムシを見つけました。
さっそくぴょーんぴょんと近付いて、
その細いお指で、そおっとつつきました。
「君のお誕生日はいつ?」
そして立ち止まって振り返って待っていた、僕とノドくんの所へ
すごい勢いで駆け戻ると、
「ねぇ?どうしてなの武彦さん?」と見上げました。
「どうして、お誕生日はオメデトウなの?」
「そうですねぇ・・・。」
「きっとこうしておんなじ場所で出会って、
おんなじ時間を過ごせることがとっても嬉しいから
頑張って生まれてきてくれてありがとう、
また会えてよかったね?で、おめでとうなのかもしれませんね。」
「そうなのかぁ。」
イェルクッシェくんはにこにこと笑いました。
「じゃあ、僕もノドくんも、ジャスミンさんもポイトコナくんも、
ゼフォンも武彦さんも響鬼さんも、みいんなおめでとうだねっ!」
「はい。」
僕は思わずイェルクッシェくんの小さな頭をいい子いい子と撫ぜました。
「えへへへ~。」
イェルクッシェくんは目をつぶって笑いながら、ふわふわのシッポを元気に振りました。
数日後の夜中。
イェルクッシェくんはとても怖い夢を見た気がして、飛び起きました。
胸は大きな音を立ててどきどきしています。
「ゼフォン!ゼフォーンッ!」
イェルクッシェくんは一番の親友で、一番大好きな人の名前を呼びました。
薄暗い月明かりに照らされて、彼の親友はぐっすり眠っているようです。
イェルクッシェくんは力いっぱい走ってゼフォンさんの胸に乗ると
腕の中にぐりぐりと頭を押しこみました。
「おや・・?イェルクッシェ。どうしたの?」
目を覚ましたゼフォンさんはそっとその頭を撫でてやりました。
「ゼフォン・・。僕ね・・。ええとね・・・?」
うんと疲れてお仕事をしてきたゼフォンさんを起こしてしまった申し訳なさと
起きてくれた安心感と、撫でてもらった嬉しさで
イェルクッシェくんは涙がこぼれそうになって、口をつぐみました。
それから、お顔をゼフォンさんの胸につけて、大きな声で言いました。
「ゼフォン。おめでとうなのっ!とってもとっても、おめでとうなのっ!」
ゼフォンさんは何がおめでとうだったっけ、とぼんやり考えましたが、
イェルクッシェくんがすやすやとまた寝息を立てて安心して眠るまで
優しく撫でてくれていました。
優しい月の光が小さな窓からそんな二人を包んでいます。
明日の朝、目が覚めたら今度こそほんとうにおめでとうですね。
イェルクッシェくん、お誕生日おめでとう^^
イェルクッシェが今日、自分からお誕生日おめでとーうと僕に挨拶してきました。
どうして自分が言うのかななんて思いましたがイェルクッシェはいつもこんな感じなので特に突っ込まなかったのですが、裏にそんな意味があったのですね。
イェルクッシェおめでとう。
by xephon (2011-06-27 22:34)
> xephon さん
来て下さってありがとうございます。
日々慌ただしい中、ほっとできる時間をもつことが出来るのは
良き友、良き家族がいてくれるからかもしれません。
しかし親しければ親しいほど
近かしければ近しいほど
ついつい後回しになってしまう事もしばしば。
このちいさな住人達は
それでも僕らの心の奥深くにいつも住まわっていて
コトコトと胸の内で元気に跳び回っている気がします。
彼らが僕らの所に来てくれるまでの日々を思います。
彼らが僕らの所に来てくれた日々の事を思います。
共に笑いあい
共に怒り、涙し
共に語り合った日々。
喪ったもの
得たもの
うたかたの儚きもの
そして
永遠のもの
xephon さんにとって、イェルクッシェくんにとって
それは何だったでしょうか。
xephonさん と出会わせてくれた彼に心より感謝して。
イェルクッシェくんおめでとう^^
by takehiko (2011-06-29 17:50)
ふんわりほっとするお話ですね^^
今回はノドくんとイェルクッシェくんの飼い主さんが登場されていますね。
お二人ともいいお父さん?飼い主さんでいらして、私などまだまだだなーっと反省することしきりです^^;
この先、何が起こるか起きるかわからないので、毎日がお誕生日のつもりで過ごすのも大切だな…、なんて思いました。
といいつつ、忙しさに流されて感謝の気持ちを忘れる毎日なんですけどね^^;
by LAYLY (2014-11-26 14:26)
>LAYLY さま
僕と他の島の飼い主さんとをつないでくれるリヴリーたち。
大人しい子もいれば、元気な子もいて
恥ずかしがりの子がいて、のんびりのびのびの子もいます。
みんな一匹づつ僕には違う子に思えます。
そんな中でもノドくんの大親友のイェルクッシェくんは
いつも元気で正義感があって、とても心優しいトビネくんです。
そんな彼のお誕生日の記念に、
どうしても飼い主さんとの強い絆を書きたくなりました^^
お誕生日は一年に一度だけの特別な日。
その素敵な気持ちがいつもちゃんと持っていられたら、
イェルクッシェくんみたいに
毎日がわくわくだらけなんだろうなぁ、と思う今日この頃です^^
by takehiko (2014-11-27 00:04)