あなたに

あなたに


部屋の窓から空が見える
如月の空は独特な色だ
ぶ厚い低気圧の雲の上空に
輝く陽の光が差し込み
そのはるか天空には
凍りつく闇の彼方に星が瞬く

たったひとり泣き叫びながら生まれいで
たったひとり空を見上げる僕がいる
そしておそらくたったひとりで死んでゆく

なんのために生まれてきたのか
なんのために生きてきたのか
愛する人よ　僕に問わないでくれ
幸せであったか
満足できる生だったかを
僕に尋ねてくれないか

後悔と苦しみばかりの人生だったかも知れない
傷つき顔を上げる力もない日々もあった
堪え切れない痛みに叫び、涙したこともある
絶望と言う虚無に心蝕まれた日々も過ごした

それでも愛する人よ
僕はあなたを見つける事が出来た
幾億光年の孤独の中見つけ出した輝く光
その暖かな確かな存在
あなたとの日々こそが
僕の心の虚無を埋めてもなお有り余るくらいの
大切な稀有なる幸福の時間
すべての後悔も過ちも胸をえぐられた想い出も
あなたの微笑みで僕はもう救われた

初めて生きてゆく事を望むことができた
咲き誇る桜を
煌めく海の水面を
風に舞う色とりどりの落ち葉を
梢にやわらかく積もる雪を
見上げ触れ、笑いあい語り合い
共に生きる事の幸せこそ
あなたが僕にくれた最高の贈り物

今度は僕があなたのために生きよう
それが僕にできるたったひとつのことであったとしても

コメント 2

言葉にできない…。

by xephon (2011-02-19 22:54) 

＞xephon　さま
こんな恥ずかしいものにまでコメントをありがとうございますっ！
こっそり隠したつもりが・・。 orz
by takehiko (2011-02-19 23:23)