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リヴリー小説 短編 『ただいま』 [創作]

『ただいま』 

ボクはさかさまになって、ゆらゆら揺れているボクの体を、試験管のガラス越しに見つめてた。

小さい小さいボクの体。
アノヒトはこれがボクだって気づいてくれるかな?

新しい体に入ってしまうと、ボクがボクであることを忘れてしまうらしい。
ボクをそっとなでてくれた優しい手も、いっぱいかけてくれた元気のでる言葉も、
笑ったこと、話したこと、泣いたこと・・
あんなに大好きだったアノヒトの事もみんな忘れてしまうのかな?

でも・・いいんだ。
体は選べないけど、ボクが行きたい人のとこは、
ここの神様がちゃんと行かせてくださるって言ったもの。
ボクがいなくなってあんなに悲しんでいるアノヒトに、
もう一度にっこり笑ってもらえるなら、ボクの思い出なんていらない。
だってボクの思い出はアノヒトがちゃんと持っていてくれるもの。
それに・・また新しい思い出・・作ればいいよね・・^^。

ここはとてもあったかくて、明るくて、痛い事も悲しい事もないけど、
ボクの心の中にはずうっと大きなアナがあって、
それを埋めてくれるのはアノヒトだけだって、ボクは知ってるんだ。

でも・・もし・・。

もしもお願いが叶うなら、
あの時言えなかった『ただいま。』が言えたらいいなあ・・。

ばいばい。ボク。
こんにちは、新しい魂の名前のボク。
今度こそアノヒトにうんとにっこりしてもらえますように。



こうしてノドくんは僕の所に「ただいまっ!」と言ってやってきてくれました。
これはノドくんがもっと小さかった時に半分眠りながら話してくれた
彼が覚えていないお話しです。

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コメント 7

takehiko

これは去年の5月に、仲良しのお友達に読んで頂く為に
リヴリーの掲示板に掲載したものです。

先代は僕の無知と傲慢さでいとも簡単に戦闘で死なせてしまいました。
2度とあんな思いを僕はしたくない。
友人たちにもしてもらいたくない。
そんな気持ちから生まれた物語でした。
by takehiko (2009-01-30 17:40) 

xephon

武彦さんこんばんは。

イェルクッシェのお話を書いていたことがありますが、彼もこれと似た経験をしていたようです。

僕がお話を書いたのも自分を戒めるためでした。

今ではイェルクッシェがとっても大切な家族になっています。
by xephon (2009-01-30 23:32) 

takehiko

ゼフォンさん、いらっしゃい。

僕らの小さな家族たちは、きっとおんなじ気持ちで
また僕らの所に来てくれたのかもしれませんね。

どうぞ是非、イェルクッシェくんの物語もお聞かせください。
ゼフォンさんの美しく心躍る文章、
心待ちにしています。


by takehiko (2009-01-30 23:45) 

まりか

わだつみさん、こんばんは。
わだつみさんの書く物語ってリヴリーへの愛情がいっぱい詰まってて、読んでてとっても優しい気持ちになるから好きだなぁ^^

わたしのジャスミンも今では家族以上に大切な存在になってて、そのお友だちのノドくんやイェルクッシェくんもとっても大事な存在になってますw


by まりか (2009-01-31 23:27) 

takehiko

茉莉花さん、よく来て下さいました^^

「リヴリーは0と1の羅列から出来ているに過ぎない。」
と仰った方がいました。
僕たちの体もまた、小さな細胞の集合体であるに過ぎません。
それでも、嬉しくて、楽しくて、哀しくて、切なくて、
泣いたり笑ったり・・。

僕らはこの小さな「いきもの」に心をのせることができます。
小さな声に耳を澄ます事も出来ます。
共に過ごしてきて、お話をした分だけの想い出の重さが
僕のこれからの日々をあったかく包んでくれます。
ノドくんを通して頂いた、
みなさんの優しい想い、あったかい言葉、
時に投げかけられた辛い仕打ちでさえも、
今の僕の財産になっていると思っています。

リヴリーは僕にとってかけがえのない存在です。
ノドくんをとりまく世界を愛おしいと思います。
それは何より、そこに大好きなお友達がいらっしゃるからですね^^



by takehiko (2009-01-31 23:56) 

LAYLY

なんとかわいらしいお話なのでしょう!
切なくもありますが、愛情いっぱい溢れていますね^^

私も一度だけ、自分の無知から子供のリヴリーを死なせてしまったことがあります。
たかがゲームとはいえ、後味の悪いものでした;;

人間の子供も、3歳くらいまでは、お母さんのお腹の中にいたことを覚えている、といいますね。うちの子も、「お母さんのお腹の中は何色だった?」と聞かれて、「ピンク!」と言った覚えがあります。まだ自我が発達する前、言葉の覚え始めの頃で、それを過ぎるともう忘れてしまい、言ったことさえ覚えていませんでした^^;
ノド君も同じ頃だったのでしょうね(*^^*)

by LAYLY (2014-11-15 16:04) 

takehiko

>LAYLY さま
僕は始めた頃のリヴリーアイランドは、今ほど親切じゃなくて
マニュアルもありませんでしたから、ここに誰も知り合いのいない僕は
公園などで声をかけて、応えてくれる親切な方に教えて頂くしか
ここの世界を知ることはできませんでした。
サーバーも異常に重くて、
お散歩の途中で戻ってこれなくなってしまう子もいたようですね。
たかがゲーム、と割り切ることは未だに僕は出来なかったりします^^

これはたくさんの後悔と悲しさと懺悔の中から生まれた物語です。

ここにいる限りひとときも忘れ得ぬ、大切な刻の想い出のひとつですが
彼と歩いて来た9年余り。
彼の名に冠したノドの地は僕にとって追われた楽園では無く
今ではようやくたどり着いた新たな楽園となっています。


by takehiko (2014-11-16 15:23) 

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